マスクは家庭で?

 今年の卒業式はマスク着用を家庭に委ねるらしい・・・が、一転「何も決まっておりません。」まもなく新型コロナも5類になるし、神経質にならずにいきましょうや、と聞こえる。もしかすると保護者も大方の声がそうなのかもしれない。しかし学校現場でこれを聞くと判断が分かれる。早いところで高等学校の卒業式は2月の下旬。まだ大学受験が控えている神経質な時だ。マスクを外して式に臨む同級生がいるならば、我が子は万が一のために休ませる、そんな分断の卒業式になるかもしれない。学校としてそれは困る。そういう悲しい判断を家庭に委ねるのには反対だ。もちろん強制もまたできない。強く勧める根拠が消えているということだ。

 このニュースを聞いたSNSでの保護者の声で「決めてもらったほうが混乱がない」というものがあった。一読して自分で決められないのか?と考える人もいるかもしれないが、確かにその保護者のおっしゃる通り。これは主体性がないのではない。責任ある立場の人が責任ある判断を示すのは当然だ。一度口に出したものをコロコロ変えられると不安になる。

 

 新型コロナで慣れてしまったことの一つに、「判断を他に委ねる」ということがありそうだ。他とは専門家であったり、信頼できる筋:例えば上級庁であったり。全く関係のない人たちではないにせよ、そういう人たちの言葉には「黙って従います」という風潮だ。学校にすれば一面実はありがたい。これは式典に限らず平常の生活でもそうだ。マスクは万能ではないしやはり弊害もある。それはたくさんの保護者から懇々と聞かされて一つひとつ頷けるものだった。どこで仕入れる情報か全く専門家のような口ぶりだった。

 

 卒業式に保護者や来賓を入れても良いという報道もあった。保護者はともかく来賓がいないだけで学校の労力はずいぶん減るのだ。元に戻さないでほしい。新しい形の卒業式も立派な卒業式でたくさんの工夫が凝らされて私は好きだった。できるできないはヒヤヒヤするけれどシンプルで心温まる式が良い。今になって体育館は風通しが良いから大丈夫、だの式典は本来会話は少ないだの言わないでほしい。

 

 いっそ主役である子どもたちに決めてもらうと良い。そして子どもが直接マスクをする、しないを宣言すると良い。そんな卒業式が見たい。あったら教えてほしい!