それぞれの就学指導

 来年度幼稚園年長になる子どもがいる。予定日より2ヶ月早く生まれた。低体重でNICUに1ヶ月。無事に成長して今では身長は高い方だ。運動を司る脳の部分に異常があり、リハビリを重ねてようやくよたよたと歩けるようになった。早くから療育を開始したご両親は、教えてもらったことをきちんと家庭でも実践し、一般校の特別支援学級担任顔負けの指導ができている。あるご縁でよく家庭にお邪魔して子どもさんとも遊ばせてもらうが、私たち教育者が逆に教わることも多い。本当にお見事だ。また、お母さんだけではなく両親そろって同じ足並みでできていることにも感服する。学校であれば、2つのクラスの担任が同じことを同じ温度で実践できているということだ。正直ここまでビシっとそろっているのに出逢ったことがない。

 

 その子の就学指導が来年度早々に始まる。とても関心があるのでリアルタイムに見ていきたいし寄り添いたいと思っている。「就学指導」は地域によってずいぶん違う。私がいる街は、学校数もそこそこなので教育委員会の担当部署が全てを同じように見て回り、学校とともに保護者の希望を聞き取り最終的には専門家(大学教授、◯◯療法士など)と三者面談をして決定していく。手間はかかるけれどガチで良い!同じ目で見てもらうとアセスメント(評価)がそろう。学校は学校で、ちょうど今頃には次年度小学校に就学する子どもたちを複数のチームで見に行く。校長自ら出かける場合もある。この何年かは保育所が増えてなかなか時間がかかった。しかし受け入れ側としては大事な作業だ。

 

 この過程で特別支援学級就学の決定が行われ教職員定数が決まる。しかし、難しいものであれだけ時間をかけて学校を見に来てもらうことをしても直前で翻意ということは起こる。我が子の小学校生活が決まるのだから当然だ。学校も教室配置や設備の準備で慌ただしい。

 

 だが、ここが学校の核だ。担任も真っ先に決定する。エースを充てる。そういう姿勢の学校とそうでない学校がどうしてもある。

 

 そして地域差もそうだ。学校の数が多すぎて教育委員会がこなしきれない時就学指導の主導権は校長に委ねられる。最近、そういうところが増えてきた。何か法律が変わったりしたのだろうか?ところが当の校長先生がそれを自覚していない。いつまで経っても教育委員会の指示を待っていたり、急に困ったと連絡をしたりで問題が起こる。県の役員をした時に担当者が嘆いていた。

 

 冒頭の子どもがどのような就学指導を受けて、どのような学校からのアプローチがあるのか見守りたい。ご両親が困っていたら出ていくつもりだ。まさか就学時健康診断だけ?ということはあるまい。