立春

 立春にふさわしくあたたかで良い天気の1日だった。冬眠している生きものが勘違いして出てきそうだ。花粉の季節の始まりでもある。何かが始まるワクワク感と慣れ親しんだものを手放す寂しさが同居していて、今はワクワクが勝る時だ。

 

 寒さが苦手な者としては、あたたかい季節は好きだけれど学校にいていろいろな動物に悩まされてきた。その筆頭が猿だ。迷い猿の大型の個体が、緑豊かな校庭のヤマモモを毎年狙ってやってきた。今の世の中、情報は早く連絡を学校にくれるのはありがたいけれど、連絡を受けた以上は追い払って、子どもたちの安全を図らねばならない。しかし敵もサルもので、人の姿を見たぐらいでは逃げない!本当に小学生の低学年くらいのサイズがある大きなオスザルだった。こちらの武器は水鉄砲。しかし決して届かない。猿もそれをよく知っている。次の手は運動会に使う電子ホイッスルとピストル。ピストルは結構効果があった。駆除してくれと行政に頼むのだが、被害が確認されないと駆除できないらしい。自分たちで追い払うしかない。ヤマモモの実の季節が終わるといつの間にか去った。国語の教材で「大造じいさんとガン」という有名な物語があるが、猿との戦いはそれほど美しく気高いものではなかった。

 

 近年学校で小動物を飼うという話はあまり聞かない。ある学校には烏骨鶏がいてとても戦闘的だったから、子どもたちの「いきものがかり」が怖くて世話ができない。いきおい自分の仕事となり何年か世話をして無事に全羽生き延びた。とうとう最後までなれなかったけれど。アナグマもいた。家族で歩いているところをよく地域の方が目撃された。アナグマはおとなしくて近くに寄ってもなかなか逃げない。愛嬌があった。

 

 付き合ってみれば可愛いものだが、鳥インフルエンザの季節には鳥の羽やフンに近づかないことや、ましてやむやみに動物に近づかないことを教えなくてはいけないし、FAXが次々に入ってくる。「猿が目撃されました。」「鳥の死骸が複数確認されればすぐ連絡を。」・・・見えるものも見えないものも気をつけなければならない。しかし指導が追いつかない。原点に戻り、教え方や教える内容を整理したい。何年か前の突然の全国一斉臨時休校は2月28日だった。